京都河原町の現代の美術・工芸の発表の場|GALLERY MARONIE

現代の美術・工芸の発表の場として、ジャンルは問わず個展を中心に展開。異なった3つのギャラリースペースを持つ京都のギャラリー。

業人樂集

川西幹夫

工芸家を育てるとは。直接創作を助けることは不可能。できる最善のことは工芸家の作った「もの」を展示できるようにしてあげることだろうか。そんな展示の場が「業人展」に他ならない。刀でいえば業物ばかりの作家の中へ呼んでいただき何かと育たねばと思ったが、この七人を呼んだ人が陶芸家・武田浪さん。浪さんはどんどん前へ行く。その後姿を見ながら私は浪さんの思いに応えていかなければと思っている。

 

片山雅美

第3回業人樂集。3階で同時開催、武田浪氏の企画・声掛けで7作家が集まり発表を続けている。武田氏は毎年精力的に各地で作品発表、行き先々で知り合った作家に場を与え企画されてきた、我々も同様である。発表の場で「いい!いいなぁ~」「これ考えたな・・・」作品に向かう気持ちが大事、一言二言励まして下さる。人が集まり語り合う事が次の作品の力になる、業人樂集を企画して下さったと思う。今展は「和・語らう」作品を並べ武田浪氏のご冥福を祈りたい。

 

後藤健吉

黒は美しい。とりわけ漆は黒の別格である。漆の黒を生かす題材は無いのかと常日頃考えている。白がきわ出せば、黒は生きる。しかし、漆は白が出しにくい。漆自体が透明ではなく乳白色だからだ。銀も漆を引き立てる白の働きを持つと考え、銀粉の濃淡で黒の存在感を意識させることにしている。また、最近は白金箔を使い、箔と銀粉の対比の面白さが出ればと思っている。銀粉が腐食して黒くなり、箔との対比がきわ出せばさらに面白さも生まれる。漆の黒。これが私の変らぬテーマになっている。

 

榎本勝彦

振り返ってみると京都という街は、自分にとって忘れようのない沢山の思い出のつまった処です。モノ作りのような仕事を始めて40年位を過ごし、この次はこの次はと苦しみ楽しみ乍ら生きています。業人なんて烏滸がましい限りで、いつか業人と呼ばれる時が来たらと、淡い憧れを保ちつつせっせと仕事に励んでおります。業人樂集は、今は天に帰って武田浪氏が集めてくれたメンバーです。多くの思い出と共に感謝しつつ。

 

柴田良三

1950年代生まれの同世代の7人はそれぞれ活躍するジャンルが違うが工芸を強く自己表現と捉え制作しているモノ作りである。2013年に武田浪氏により寄せ集められた業人7人衆は今回で3回目の業人展の準備に係り始めていた。その武田氏が3月初旬、自分の作品展の会期中沖縄の地で帰らぬ人となった。過去2回の業人展以上に武田氏の思いを推し量り制作をすることになった今回の展覧会、7人の作品が醸し出す旋律のハーモニーが鎮魂歌になればと思っています。

 

森口信一

今、物を作れることを幸せに感じています。また、我谷盆も自分なりのものが出来るようになってきたと思います。手を動かしている時、いろいろな先達の言葉が私の支えになっているのを感じます。「イマヤラネバイツデキル、オレガヤラネバダレガヤル」「金のないのは不自由だけど、恥じゃない」「もっとバァッとやれ、バァッとやれ」など・・・それらの意味を考えながら、いつまでも、愛される物を作っていこう!ご覧になられた物たちに、共感いただければ幸いです。

 

村田好謙

天空から降り注ぐ光や水の雫

煌めく生命の尊さを慈しみ

心が明るく澄んでいく

祈りを象徴とした制作が最近のテーマです。人生は縦糸と横糸の接点にある様なもの

業人樂集と言う横糸を繋いでくれた浪氏の想いを心に留め作品に刻みたいと思います。

2017年5月30日〜6月11日

5.30-5F
  • 5F-1
  • 5F-2
  • 5F-3